トークセッション(10月7日)開催報告

2022年10月7日(金)、「北極域実践コミュニティ トークセッション『実は○○だった北極!』」を開催しました。YouTube Liveにて配信を行い、一般の方約30名が視聴しました。

第1部では、「実はこうだった!『北極の氷』」をテーマに、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター准教授の野村大樹先生にお話しいただきました。

1年の大半が氷に覆われている北極海ですが、実は冬でも北極海の氷は減っていて、海氷は凍りにくく、また、融けやすくなってきていることを、実際に現地を訪れた際の写真とともに説明してくださいました。そして、コロナ禍でドイツの砕氷船に乗って氷上観測をしたお話では、船上には湯舟はないけどサウナとプールがある!研究者たちも船上でビールを楽しんでいた!など、ここだけの話(!?)もお聞きできました。

第2部では、「実はこうだった!『北極で暮らす人々』」をテーマに、東北大学東北アジア研究センター専門研究員の石井花織先生と、神戸大学大学院国際文化学研究科講師の大石侑香先生にお話しいただきました。

石井先生は、アラスカ遠隔地の村のごみ問題の調査をもとにお話ししてくれました。先住民がごみを自分たちや土地の一部と考える宗教的な価値観や、私たちの衛生的観念とは別の認識の仕方をしていることなどを教えてくれました。

大石先生は、西シベリアで先住民と生活をともにしながら観察するフィールドワークでの経験をもとにお話ししてくれました。実は先住民は、トナカイの毛皮を防寒としてだけではなくオシャレとしてまとっている!クマを聖性の高いものとして扱いクマを通して精霊の声を聞く(占う)!など、興味深いお話を聞くことができました。また、彼らの生活は劣っているのではなく彼らに合った営み(文化)があり、優劣はない。世界の基準を一方的に押し付けるものではない、というメッセージも伝えてくれました。

最後に、何を豊かさ・問題ととらえるかについて北極をとおして考え、スピーカーと聞き手全員で意見を出し合いました。

北極域の実情を知るとともに、普段は知り得ない研究の裏側も垣間見ることができるトークセッションの時間でした。視聴した皆様が遠い北極に想いを馳せるきっかけとなっていれば幸いです!

———————————————————————
ファシリテーター:
黒井理恵(株式会社DKdo)
北極域実践コミュニティ事務局:大西富士夫(北海道大学)
北極域実践コミュニティ事務局:高橋美野梨(北海学園大学)

———————————————————————

※全編映像はコミュニティ会員限定で公開しています。

上部へスクロール